おみそコラムcolumn
美味しいみそ汁の作り方

みそ汁は日本食の定番メニューと言えましょう。その家庭ごとに美味しいみそ汁があり、かつては良いお嫁さんの条件に、美味しいみそ汁を作れることが挙げられたこともありました。今、「美味しいみそ汁」を作る意識がご家庭のお母さまにも薄れつつあるのでは…?と、少し危惧しています。

美味しいみそ汁を作るには1出汁を取る2出汁に具材を入れ煮る3味噌を溶き入れ、ひと煮立ちさせる の3つのステップを守ることです。1の出汁を取る作業は、昆布やかつお、炒り子等を用いることが難しい場合は、市販の顆粒等の出汁を使っても構いません。でもこの順序だけは守ってください。出汁の中に具材を入れて煮ることにより出汁の旨味が具材にも入り加わります。そこに味噌を溶き加えることにより、一層、味と香が豊かになります。味噌の香は煮過ぎると損なわれます。「煮たち花」の言葉もあるように、鍋の底からプクッと煮えてきたら火を止めてください。吸い口(薬味)は火を止めてすぐに散らすといいでしょう。

最近はとにかく便利さ簡単さを追求する傾向にあり、出汁入りの味噌も登場しています。ですが先に具材を煮てしまいますと、具材が水っぽくなり、美味しいみそ汁はできません。出汁で具材を煮ることが美味しさにつながるので、出汁→具材→味噌の順序は是非、守っていただきたいと思います。

次に季節や具材によって使う味噌を代えることも美味しく召し上がるコツと言えましょう。六甲味噌のしおりには「ふくさ味噌」の紹介をしていますが、これは2種の味噌を合わせて使うことです。人間の体は暑い時期には濃く辛い目の味を求め、寒い時はまったりとやさしい味を求める傾向にあります。ですから夏は赤味噌と白味噌の割合を8:2に、反対に冬は赤味噌と白味噌を2:8に、春や秋は5:5の半分ずつにして合して用いるとよいでしょう。また野菜や海草等の具材には赤味噌や合わせ味噌、そして魚介類には赤だし味噌がお勧めです。

みそ汁は翌日になり温めなおすと、味噌の香りがなくなり美味しくない…と言いますが、その場合は白味噌(甘味噌)を1さじ加えて温めなおすと、香りが増し美味しく召し上がれます。白味噌は塩分が極端に低い味噌ですので塩辛くなる心配もありません。他にも具材に油分を加えると旨味が増します。ですから油揚げや天カスを活用されると美味しいみそ汁ができると思います。

日々の食もほんの一手間でより美味しいものになります。それは言い換えれば食べてもらう人への愛情かもしれませんね。