おみそコラムcolumn
ひよこ豆味噌の水饅頭とみたらし団子
●味噌水饅頭
【材料】(3個分)
こしあん 60g
ひよこ豆味噌 10g
片栗粉 大さじ2
砂糖 大さじ1
水 200ml

【作り方】
[餡]
① こしあんとひよこ豆味噌をよく混ぜ合わせる。

[皮]
① 鍋に片栗粉、砂糖、水を入れ中火にかけ、泡立て器などで混ぜる。
② 透き通ってきたら、餡を入れた容器に1)を入れる。
③ 冷蔵庫で1~2時間ほど冷やす。
●味噌みたらし団子
【材料】
[団子]
小麦粉 大さじ2
片栗粉 小さじ1
砂糖 大さじ3
水 大さじ3
[餡]
濃口醤油 大さじ2
ひよこ豆味噌 大さじ1
片栗粉 大さじ1
水 110ml

【作り方】
[団子]
① 耐熱容器に水以外の団子の材料を入れてよく混ぜる。
② 1)に水を加え、ダマにならないようによく混ぜる。
③ レンジ(500w)で1分間加熱する。
④ 加熱後、団子の形になるよう手で丸める。
⑤ 串に4)を3個刺す。
⑥ フライパンで焼いて焼き目を付ける(またはガスバーナーで炙ってもいい)。

[餡]
① 餡の材料を鍋に入れて火にかける。
② とろみがつくまで混ぜ合わせる。
③ とろみがついたら火からおろす。

[盛り付け]
① 団子に餡を塗る。
料理考案/Cチーム(安冨真衣、深見歩梨、遠藤琴美)
学生のレポート(C)
味噌スイーツが、あなたの腸活ライフに役立てば…
 あなたは、味噌と聞くと、何を思い浮かべるだろうか?味噌汁に、野菜炒め、はたまた味噌を用いたソースと、日本人にとっては様々なものに使用する事ができる万能調味料といえよう。私が調べたところでは、味噌の起源は飛鳥時代だといわれているようだ。古代中国の大豆塩蔵食品の醤(ひしお)がそのルーツ。昔は、寺院や貴族階級など高い地位の人しか味わえない贅沢品であった。食べ方も今のような調味料然とした形ではなく、そのまま食したり、何かにつけたりして味わっていたという。

 食べ方に大きな変化が現れたのは鎌倉時代。聞くところによると。中国からやって来た僧の影響ですり鉢が使われるようになり、粒味噌をすり潰してみると、水に溶けやすいのが分かったのだとか。以来、味噌汁が登場し、一汁一菜なる食事スタイルが確立。室町期に入ると、大豆の生産が増えて味噌の自家醸造も始まり、庶民の間にも浸透して行った。日本の食文化が今様になった江戸時代は、味噌は庶民にとってなくてはならない存在に。江戸の町の人口も50万人に達したためにその生産が間に合わず、三河や仙台、三州まで味噌を求めることに。それらの地域の味噌が、せっせと江戸の町に運ばれたそうだ。味噌は、京や江戸の大都市だけでなく、その地方ごとに造られており、地域ごとに異なる製造法と味がある。一説では、強い武将のいる所は、いい味噌を産するとされており、徳川家康=八丁味噌、武田信玄=信州味噌、伊達政宗=仙台味噌はその好例。合戦の際は、遠征することが必定だったため、食事に活用した味噌玉が活躍。兵糧をうまく利用した武将が国を大きくしたとの話が残っている。
そんな奥深い歴史がある味噌は、日本が誇るスーパーフードと呼ばれ、その栄養価も高く評されている。これこそ“味噌の医者殺し”たる所以なのだ。ちなみに味噌の材料である大豆は“畑の肉”とも呼ばれ、良質のタンパク質、脂質、炭水貨物、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが含まれる。蒸した大豆に麹菌と塩を加えて発酵・熟成させたのが味噌なのである。

 今回、私達がレシピづくりに使用した「ひよこ豆味噌」は、大豆の代わりにひよこ豆を用いて仕込んだ優しい甘みを持つもの。調理しても大豆を使った通常の味噌より優しい味わいが特徴となる。何より秀逸なのは、ひよこ豆で造っているので大豆アレルギーの人にでも安心して使ってもらえる点。この利点をいかすべく発売されたと先生から説明があった。
味噌の健康効果は、書き出すときりがないくらい、素晴らしさを痛感している。そのヘルシーさの中でも、私は腸内環境を整えることについて注目した。近頃、「腸活」というフレーズをよく耳にする。腸活とは、腸の細菌バランスを整えることを意味する。腸内には、大きく分けて善玉菌・悪玉菌・日和見菌が生息している。この中で善玉菌が多いほど腸内環境がいいとされる。善玉菌は、乳酸菌やビフィズス菌などによって増殖するが、味噌にはその乳酸菌が多く含まれるのだ。発酵食品は、腸活にぴったりな食品といわれており、その発酵食品に属する味噌は、私達の腸活の強い味方といえよう。

 今回の味噌を使用したレシピ考案で、まっ先に思いついたのが、「味噌×スイーツ」であった。その理由は、私自身が腸活として味噌を用いたスイーツを作って食べていたからだ。以前、私は今よりも太っていた。食べる事が好きで、健康面なんて全く気にせずに好きなものを、好きな時に食べていたからである。案の定太った(笑)。でも当時はあまり気にもとめていなかった。ある日、私よりも太っていた友人に久々に会うと、別人のように美しくなっていたことにショックを受けた。聞くと、ダイエットして痩せたのだそう。肌もきれいになっていた。そんな衝撃を受け、「自分は怠惰な生活をしている間に、友人は努力していたんだ」と後悔した。自分自身が惨めになり、ダイエットを決意したのである。

 ところが、一旦ダイエットを決意したものの、食べる事が好きな私は、好きなものを食せない不自由さがストレスになり始めた。この強いストレスで到底ダイエットが続けられないと断念しそうになった。そんな時に知ったのが腸活で、腸活こそがダイエットを成功に導く鍵だと理解した。それからというもの、腸活に効くような食物を積極的に摂取するようになったのである。だから大好きなスイーツも全く口に入れないのではなく、使う調味料を工夫することで、美味しく、かつダイエット的に有効になるようにもする。そんなおかげか、―10kgのダイエットにも成功した。

 今回の「味噌水饅頭」と「味噌みたらし団子」はそんな私の経験も踏まえて考案した作品。味噌という日本人になじみのある調味料と、和菓子がうまく合わさった力作だと自負している。もし、私のような悩みを持っているなら作ってみてはいかがだろう。この二作品が、あなたの腸活に寄与する事を願っている。
(文/大阪樟蔭女子大学学芸学部ライフプランニング学科 安冨真衣)

祖父との思い出と、一人暮らしの衝撃
 私にとって味噌は、思い出が沢山詰まった調味料だ。そもそも愛知県出身で幼い頃から赤味噌を使った料理に慣れ親しんで来た。名古屋名物といわれる料理には、味噌が使われていることが多く、何を隠そう私だって幼少期には、近所のうどん屋へ行くと、かなりの確率で味噌煮込みうどんを注文していたのだ。小中学校の給食でも頻繁に味噌を用いたメニューが登場していたし、お味噌汁は決まって赤味噌を使用。カツが出る時は、味噌カツで、おでんといえば味噌おでん…。味噌と関わりの深い生活を送って来たといえよう。

 味噌について印象に残っている思い出が二つある。一つは、なくなった祖父との思い出。祖父は、愛知県豊田市出身で、よくそっち方面へ私と弟をドライブに連れて行ってくれた。当時は、当然地理感覚がなく、幼かったので記憶もおぼろげ。ただ大人になって振り返ってみると、豊田市内だけではなく、三河地方にも連れて行ってもらっていた事がわかる。残念ながら祖父は、小学生時に亡くなってしまったが、その短い期間によくこれだけ連れて行ってもらえたことに感謝もしているし、懐かしい思い出としても残っている。

 私の地元(尾張地方)から三河までは、場所にもよるが、1時間半から2時間はかかる。長時間のドライブなので必ずどこかの店に立ち寄って食事を摂っていた。チェーン店に入った記憶はほぼなく、毎回山の中にある個店で食事をしており、そこでは地元の食材を使った料理が出ていたように思う。いわゆる田舎料理で、山菜を使ったものや、味噌で調味したものが多かったのではなかろうか。尾張は赤味噌が主流なのだが、三河では、赤味噌でも岡崎で造られる八丁味噌が多用される。八丁味噌は、普段食べている味噌とは味が異なり、私は少ししょっぱくて濃い味のような印象を持っているのだ。でもこの八丁味噌が、山菜や地元野菜、猪肉には合っていたので、私のドライブの一つの楽しみになっていたのも事実だ。食事の他にも連れて行ってもらった場所の詳細を覚えておらず、祖父が亡くなった今となっては、再度行きたくても行けないのが心残りである。味噌を使ったものには五平餅があり、これだけは今もその店の味を味わうことができる。なぜなら祖母がその店を知っているからで、今でもたまに買って来てくれるのだ。私にとっては、この五平餅だけが祖父を知る味の接点で、食べる度に祖父との思い出に浸れる大切なキーワードでもある。

 二つめは、味噌の調味料「つけてみそかけてみそ」。地元のスーパーでは必ず棚に並んでおり、我が家でも必需品。豆腐や野菜スティックにつけて食べるのが定番で、マヨネーズと同じくらいの頻度で実家の食卓には登場する。だから私は、全国どこのスーパーへ行っても売っているものと思い込んでいた。なのに大学で大阪に出て来て数多くのスーパーへ行っても見当たらない。棚にはないし、店員に聞いても知らないのだ。私にとっては、衝撃的出来事で、食が一変するとさえ思った。流通が発達した現代でも調味料に地域差があることを初めて悟ったわけである。大阪での暮らしは、地元を出て暮らすことの面白さを知ったと同時に、一人暮らしを始めて最初に起きたハプニングで、心細さをも感じたもの。このみそ調味料がなかったことは、今も印象深く残っている。

 ところで、授業では六甲味噌製造所の「ひよこ豆味噌」が手渡され、各グループに味噌レシピを創作するように先生から指示を受けた。「ひよこ豆味噌」は大豆の代わりにひよこ豆を使って仕込んだもので、関西らしい優しい甘みのある味噌になっている。大豆アレルギーの人でも安心して使える利点もある。私は、前述した五平餅よろしく、味噌の味をダイレクトに感じられるようにと、味噌あんを使った和菓子を考案した。味噌は、私の中では決して華やかな印象ではないけれど、水分量を多くしてキラキラ輝いた和菓子にすることで、華やかさのある一品へと変身を遂げる_、そんな料理になったように思う。特に「水まんじゅう」は、そんな演出をも狙った品である。
(文/大阪樟蔭女子大学学芸学部ライフプランニング学科 深見歩梨)